あなたの仕事

「あなたの仕事? 何それ。何が言いたいの清」「お前、男と付きあっているだろ」「……まぁ、そうだけどね。それが何か」「お前、その相手の男の事、どのくらい知っている」「どのくらいって言われても……。あんた、やきもちを焼いているのね」

「あのな、お前。そうじゃないに決まっているだろ。俺の仕事だって言ったじゃないか」「それで何が言いたいのよ」「お前なぁ、その男には奥さんがいるんだぞ。その奥さんが俺に浮気調査の依頼をしてきた訳」「……まぁ、いいんじゃない、そんな事があっても」

「お前、そんな事があっても。なんて言っている場合かよ。お前、良いのかよ、子供もいるんだぞ。今後どうする気なんだ」「もういいわ。それ以外に用事が……プー……プー」そう言って彼女は携帯電話を切ってしまった。

 明らかに最後の方は機嫌が悪い声に変わっていたし、最後の言葉は聞こえなかった。それに対する俺も、 かなり感情的に話した面もあって、何ともいえない後味の悪さが残った。だがこれで知恵は考えてくれるだろう。次あの吉永徳次郎という男と会う時には、彼に 対して別れを宣告する事だろう、俺が宣告されたみたいに。

 何か気晴らしに夜の街でもぶらぶらするかな。金は有る事だし、祝いを兼ねてパーっとやるか。そうでもしないと今の自分の、苛つく気分は納まりそうには無かった。座っていた椅子から立ち上がり身支度を始めた。まずシャワーを浴びた。

 ガスを使うタイプだから蛇口をひねると最初は冷たい水が出てくる。いや別にガスでなくても電気式でも同じことだが、二十秒ほどでその冷たい水が暖かい水に変わる。頭に当たるシャワーの湯が俺の脳細胞を刺激する。その脳細胞が普段は気付かずにいる自分の身体の変化に気が付く…何時からだろうかに続く。